頭が良い人

頭が良い人が好きだ。能動的に行動し知識を蓄える事はエネルギーを要することで、頭が良い事と努力は不可分の関係であると考える。(「頭が良い」は「努力家」の十分条件論提唱し続けたい)

 

阿部さんは頭が良い。所謂有名私立高偏差値大学の大学院を卒業し気象予報士という合格率5%の難関国家資格を取得している。かなり頭が良い。


大好きな言葉の一つに平田オリザさんの「感性だけでは矛盾に満ちた世界と戦うことはできない」というものがある。

今の日本では、自ら掘って得る必要最低限以上の知識など無くても多少は生きていける。だが逆に自ら学んでいく事の重要性はより明確になってきているのではないか。過去から学び目覚めてしまった社会で見なくて済んだものが見えてしまう苦しさがありすぎる。分断された枠から弾き出され見放されたものは見えない存在として気付かれず、見過ごされてしまう世の中で、グラデーションを許さず曖昧なものを曖昧なものとして存在させずに白か黒かを勝手に決めペンキでぐりぐりと塗りたくられるような世界で目覚める事の先にある、ある種の地獄を生きている我々、気付かないままなんとか保っていたものが気付いてしまった瞬間に崩れ落ちてしまうそんな世の中を生きていく術は個人に委ねられがちだから。

 

平田オリザさんの言葉は、知識は感性では補えない社会の綻びを見つけるものでそれにより傷つくかもしれないものを守る術であると続いている。阿部さんの姿を通して考えるとよりストンと腑に落ちる。

 

また、あるドラマの台詞の一つに「優しいって頭が良い事でしょ。頭が良いってのは優しい事」というものがあるが全てはこれに繋がる。頭が良いというのは自らを高めるものでもあるがそれ以上に他人に対するものでもある。新たな知識は既存の知識或いは過去の経験と結びつきより強固なものになって蓄積していく。知る事で偏見から解放され、共感の範囲が広がり多面的に物事を見る事ができるようになる。他者を眼差す事ができる。


阿部さんの優しさは知識と勉強欲に裏打ちされたものであるとよく思う。テレビ、雑誌、SNSなど媒体毎に場の空気や流れを読み取り、メンバーや共演者やファンなどその時対峙している相手の求めているものを見抜き最適解で応える。時に励まし、鼓舞し、時に癒す。自分の私事を一切持ち込まず常にギアを少し入れたテンションでいてくれる。彼からはこの人には傷付けられないという安心感と優しさを感じる。それが非常に心地良い。知識だけではない、状況を把握する理解力と他者に対する想像力、答えを出す瞬発力と判断力、語彙、自己管理能力、その他色々な力を要するものであるが彼はそれら全てを持ち、且つ当たり前かのように正しく有効に使っている。謙遜や誇示、親切の押し売りなどは一切感じない。

人間は学ぶ事ができる生き物で、それは決して机の上だけでの話ではない。だから人間は優しさを身につけることができる、変わることができる。その希望を信じても良いと言ってくれている人であると強く思うのである。

 

29歳になる阿部さんの姿を今後も勝手に希望とし、彼を通して学びながら生きていく。勝手に優しさに甘えながら生きていく。だから彼にも沢山の優しさと大きな幸せが、好奇心をくすぐり心の底からワクワクする事がこれまで以上にあるよう願ってやまない。そしてどうか息災で 。優しさを搾取される事が絶対にありませんようにと今日も祈るのである。